シミ(紙魚) 


 「シミが昆虫なの?」と驚く人は多いかも知れませんね。昆虫というと、そのほとんどは翅があるというのが共通点ですが、翅のない昆虫もいくらかいます。ノミ、シラミ、ガロアムシなどのように生涯翅を持たないものもいますが、これらは翅のある祖先が進化の過程で翅を退化させたものです。
 ところが、シミ、イシノミ、トビムシなどは、祖先も含めて翅を持っていません。彼らは、翅を持つまでの段階に進化していない原始的なグループです。なかでもシミはムカデやヤスデのような腹部の足の名残があり、これらの生物から昆虫が進化してきた当時の特徴を良く残しています。

 イシノミやトビムシ同様、変態せずに成虫になっても脱皮を繰り返します。こうした原始的な昆虫が、4億年近くも余り姿を変えないで生き残っているのは驚異の一言です。
 シミは我々にもなじみの深い昆虫で、古い書物をかじって穴だらけにしてしまうといわれていますが、実は実際に穴をあける真犯人は甲虫のフルホンシバンムシで、シミは紙の表面を歩き回って、そこに塗られている糊をかじっているだけなのです。これは、書物を開くと素早く逃げる姿がよく見られるため、とんだ濡れ衣を着せられてしまったというわけです。
 シミは漢字で「紙魚」「衣魚」と書きます。英語では「book worm」が我々にはポピュラーですが、「silver fish」つまり「銀色の魚」とも呼ばれ、銀色の体をくねらせて走る様子に魚のイメージが重なるところから来ています。
 このシミ、体は鱗粉に覆われているものが多く、雑食性で、衣類や乾燥食品などを食べます。寿命は数年と昆虫にしては大変長いのが特徴です。